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認知症の入院治療にかかる費用は?主な内訳と支払えない場合の対処法

[2025.10.31]

認知症の症状が比較的軽い場合は、外来での治療が勧められることもあります。
しかし、症状が進んだり合併症を伴ったりした場合は入院が必要になることも少なくありません。
その際、治療費がどの程度かかるのかわからず不安に感じる方もいるでしょう。

そこで、本記事では認知症の入院治療を行う場合に、どの程度の費用がかかるのかを解説します。
この記事では、費用の内訳や支払いが難しい場合の対処法も理解できるようになります。

認知症治療で入院した場合にかかる費用相場について

認知症が進行して入院が必要になった場合、外来と比べて高額な費用がかかることがあります。
具体的な費用は入院する病院の規模や地域、症状、行われる治療によって変わりますが、一般的に1か月あたりの自己負担額は7万円~30万円ほどになります。

入院費用のみを考えると月7万円前後で済むことが多いのですが、保険の適用外となる項目が多い場合は、30万円近くかかることもあるため、事前におおよその金額を確認しておきましょう。

特に入院が長引くほど食事代や日用品代も高額になっていくので、予定していた以上の出費となることも少なくありません。

ただし、後ほど紹介する高額療養費制度があり、一定額を超えた医療費については後から払い戻しが受けられます。

入院費用の主な内訳について

認知症で入院治療を行うことになった場合、かかる費用は治療費のみではありません。
どのような費用がかかるのかを理解しておくことで実際に支払いをする際の請求にも納得しやすくなるでしょう。
主な内訳は、入院保証金・検査費用・治療費・差額ベッド代・食事代・日用品代の6項目です。
ここではこれらの内訳の詳細について解説します。

入院保証金

入院保証金とは、入院時に預ける保証金のことであり、主に医療費の未払リスクを避けるために設けられているものです。
賃貸契約時に支払う敷金と同様で、実際の入院費用が保証金を下回った場合は、差額が返金されます。
一方、保証金よりも実際の入院費用の方が高くなった場合は、差額分を追加で支払う必要があります。

そのため、前払いの一部として考えましょう。
具体的な金額は病院によって異なりますが、相場は5~10万円程度です。

検査費用

入院して認知症治療を行う際は、入院中にさまざまな検査があります。

たとえば、身体の断面図を撮影するCT検査や、脳の内部を撮影するMRI検査が代表的です。
他にも、脳の萎縮度合いを調べるVSRAD検査、脳の血流が低下している部位・低下の度合いを調べるSPECT検査などもあります。

実施される検査によっていくらかかるか変わってくることになります。
検査にかかる費用は保険が適用されることから、それほど高額にはならないのが一般的です。
ただし、入院中に複数回検査を受けると想定以上の費用が発生する場合もあります。

緊急性の低い検査については必ずしも入院時に行う必要はなく、外来通院で対応できることもあるので、費用が心配な方は相談してみましょう。

治療費用

入院中に行う治療にかかる費用が治療費用です。
治療費用は医療保険の適用対象内となっており、それぞれ自己負担割合に応じた金額が請求される形です。
入院費のうち大部分を占める費用であり、金額は入院日数によって異なります。
一般的に一日当たりの入院基本料が決められており、それに入院日数をかける形で計算されます。

なお、合併症の治療が加わる場合は治療費用が高額になることもあるので、おおよその金額をあらかじめ確認しておきましょう。
また、特殊な薬や新しい治療法を選択した場合は保険適用の対象外となることもあります。

差額ベッド代

差額ベッド代とは、少人数部屋や個室を選択した場合に発生する追加料金のことをいいます。
注意しなければならないのが、個室だけではなく、6~8人部屋が基本となる中で2~4人といった少人数部屋を希望した場合でも差額ベッド代が発生するということです。
病院によっては無料の4人部屋もあります。

自身で部屋を希望しなければ基本的に差額ベッド代はかかりません。
しかし、病院側からの説明を受け、それに同意して同意書にサインした場合は 差額ベッドの利用を希望した扱いとなります。
たとえば、大部屋が満室で個室での入院を案内され、それに納得して同意書にサインした場合は、差額ベッド代が発生する可能性があるので、よく確認が必要です。

健康保険では治療に必要な最低限の費用のみが対象となるため、少人数部屋や個室を希望した場合の差額ベッド代は適用外になり、全額自己負担となります。

具体的な金額は、病院によって大きく異なります。
一日あたりの差額ベッド代が数千円でも、入院期間が長くなると総額が高くなりやすいため、予算に応じた部屋選びが大切です。

食事代

入院中の食事代は、健康保険の対象外です。
近年は食材費の高騰もあり、入院時の食費が改定されているため、注意しましょう。

2024年にはそれまで1食あたり460円だったものが30円引き上げられ、490円になりました。
2025年4月1日以降は再度引き上げられ、510円に変更されています。

1日3食で約1,530円、1か月でおよそ45,000円です。治療食や特別食が必要な場合は、別途費用が発生します。

認知症は高齢者に多い病気であり、加齢により嚥下機能が低下している方も少なくありません。
標準食が食べられなければミキサー食やきざみ食を選ばなければならないこともあり、この場合は追加費用がかかることもあります。

なお、1食あたり510円の食費が設定されているのは一般所得者です。
低所得世帯や高齢者については軽減措置が設けられているので、確認しておきましょう。

参考:(PDF)厚生労働省:(参考)入院時の食費の基準の見直し[PDF]

日用品代

入院生活中に日常生活を送るために必要な日用品は、全額自己負担です。
歯ブラシや歯磨き粉、コップ、タオル、ティッシュ、おむつ、下着、着替えなどを用意する費用がかかることになります。
入院期間が長くなるほど日用品の購入頻度も増えるため、あらかじめおおよその費用を見積もっておきましょう。

病院によっては日用品のレンタルサービスがありますが、自分で用意したほうが安く済む場合もあります。
ただし、病院によっては持ち込みを禁止しているものがあり、病院内で用意しなければならないものもあるので、確認が必要です。

入院費用の支払い方法について

入院費用の支払いは、基本的に退院時にまとめて行うのが一般的です。
その際、現金のみ対応の病院もあれば、クレジットカードや銀行振込に対応している病院もあります。

近年は、キャッシュレス決済を取り入れている病院も増えてきました。
しかし、中小規模の病院の多くでは現金払いが中心となっているので、この場合は現金を用意しておかなければなりません。

また、入院が長期間にわたる場合は退院時にまとめて支払うと金額が大きくなることから、月末締めの翌月払いなどを採用している病院もあります。
具体的な支払方法については病院によっても異なるので、入院前によく確認しておきましょう。

病院によっては先に入院保証金を用意しなければならないこともあるので、確認が必要です。

入院費用が支払えない場合の対処法

認知症により入院による治療が必要になったものの、費用面での不安を抱えてしまう方もいます。
特に入院が長期化した場合は費用が高額になるので、支払いが難しくなってしまう方もいるでしょう。

ここでは具体的な対処法を紹介します。

病院に一度相談する

まず行いたいのは、病院への相談です。
病院のソーシャルワーカーやケースワーカーなどに相談し、どのような形で対応すればよいかアドバイスを受けましょう。

病院としても未払となるのは困るので、分割払いなどの対応を検討してもらえることもあります。
退院が決まり、いざ支払いが必要という段階で相談しても対応できないことがあるため、早い段階で相談しておくことが重要です。

高額療養費制度を利用する

高額療養費制度とは、1か月に支払う医療費が一定額を超えた場合に、その超過している分が払い戻される仕組みのことです。
限度額は年齢・収入によって変わります。
自身の場合はいくらが限度額となるのか確認しておきましょう。

なお、制度を利用する場合も一度窓口で全額を支払い、申請して払戻を受けなければなりません。

参考:(PDF)厚生労働省保険局:高額療養費制度を利用される皆さまへ[PDF]

限度額適用認定証を利用する

高額療養費制度を利用予定ではあるものの、一度窓口で全額を立て替えて支払うのが難しい方もいるはずです。
そういった場合は、窓口での支払い時から自己負担の限度額を超える分を支払わずに済む限度額適用認定証を利用しましょう。
加入している健康保険組合や国民健康保険の窓口にあらかじめ申請をして利用する形となります。

なお、対象は保険適用分の費用に限られるため、注意しましょう。

高額医療費貸付制度を利用する

高額医療費貸付制度とは、高額療養費制度の払戻を前提として無利子で資金を貸し付ける仕組みです。
建て替えの負担を軽減したい方は活用しましょう。
健康保険組合や市区町村の国民健康保険窓口などに申請が必要です。

参考:全国健康保険協会:高額医療費貸付制度

高額介護サービス費の支給を受ける

高額介護サービス費とは、介護保険利用時の自己負担額が月ごとの上限を超えた場合に超過分が払い戻される制度です。
一般的な高齢世帯であれば月額約44,000円程度が上限の目安となり、それ以上は支払う必要がありません。

申請をした上で後日払戻を受ける形です。
入院時の医療費や差額ベッド代には適用されず、介護サービス費に限定されている点は注意しておきましょう。

参考:介護サービス情報公表システム:サービスにかかる利用料

入院費用の内訳を理解して準備しておこう

いかがだったでしょうか。
今回は認知症の方が入院治療をする際にどの程度の費用がかかるのかについて解説しました。
費用の支払いが難しい場合の対処法についても理解できたのではないでしょうか。

入院治療を終えて自宅で過ごす場合は、その後の医療ケアについても検討が必要です。
通院が難しい場合は、訪問診療も活用してみてはいかがでしょうか。

有馬地区で利用できる訪問診療サービスをお探しの方は、森島小児科内科クリニックまでご相談ください。
各種管理・処置に対応しており、宮前区東有馬にある当院から車で30分ほどまでの距離であれば訪問診療に対応可能です。

この記事の監修者

佐藤 陽人

森島小児科内科クリニック/診療部長

《資格》

日本脳神経外科学会専門医
日本脳神経血管内治療学会専門医
日本脳神経外傷学会専門医
日本脳卒中学会専門医
日本脳卒中の外科学会
日本頭蓋底外科学会
日本神経内視鏡学会

《略歴》

新潟大学医学部卒業
東京科学大学大学院卒業 医学博士
2020年 関東労災病院脳神経外科 副部長
2024年 東京科学大学脳神経外科 特任助教

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